今日、ある学会用の査読が終了した。査読とは、簡単に言えば、研究者が論文を発表しようとする際、それが発表・掲載されるに相応しいものかを判定すること。初めて査読を頼まれたときはとってもびっくりしたけど、周りの人の話を聞いた限りでは、やっぱり学生でも査読するのは結構あるそうだ(もちろん投稿先のレベルによると思うけど)。間もなく2年目が終了するけど、自分のこれまでの投稿論文はゼロなのに、査読した論文が2.5編(0.5というのは書いてはいないけど、読んで指導教官と話し合ったもの)というのは結構情けない。。。
査読は無償労働で確かに時間が掛かるけど、利点としては出版されない論文にもお目にかかれること。これはまだ論文に書き慣れてない学生のうちに経験すると、その恩恵に結構授かれる気がする。というのは、普段読む論文は査読を経て世に出てるものが多いので、ある一定以上のレベルになっているはず。一方、査読では採否される前の論文を読むので、査読をしないと見られないようなちょっとひどい論文も中にはある。今回読んだ論文は、参考文献に挙がっている論文の順番がめちゃくちゃで、正しい文献が参照されていなかったり(つまり、5番目の文献と文章中で言ってるのに参考文献欄では10番目だったり)、いくつかのグラフを比較してるのにそのスケールがばらばらだったり、グラフ中の文字が小さすぎて読めなかったり。こういうのを見ることで、自分が実際に論文を書く際にどういうことに注意すればよいのか、段々感覚的にわかってくる気がする。
もちろん一番重要なのは研究内容だけど、英語論文の場合はやっぱり英語自体もそれなりに重要だと思う。自分もたくさん問題を抱えてるけどそれは棚に上げて続けると、結構多いのが一文が非常に長い場合。科学・技術英語論文では短い簡潔な文が好まれる。この原因になりがちなのは、受動態を多用しすぎて内容が曖昧になり、かつ一文も長くなるといういう悪循環。友人が査読した論文にはこれがかなり多かったそうで、「きっと著者は日本人だな」と言っていた(自分も同じ傾向があるのでからかわれた)。。あとは動詞の時制が一貫してなくて、既に発表されたことなのか今回得られたことなのかが曖昧になる場合。そして意外に多いのが、句読法(punctuation)の使い方を誤っている場合など。こういうことは基本書を読めば必ず書いてあることなので、学部生のうちに読むべきくらいだと思う。
自分が初めて英文論文を書いたときに非常に重宝したのは、過去の日記を参照下さい。でも科学・技術論文に関係なく必読なのは Strunk and White の古典的名著 The Elements of Style. ペーパーバックなら非常にコンパクトで持ち運び自由、それでも重要なことが盛りだくさん。アメリカの大学はどこでもほぼ全員ライティングの授業が必修で、その授業で結構使われるそうだ。あと、友人の所属する研究室の学生はほとんどアメリカ人だけど、そこの指導教官はラボの学生全員にこの本をプレゼントしている。つまり、アメリカ人も必携のライティングのバイブル。
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● 関連
査読(Wikipedia) (誰が熱心に書いたのか、解説がかなり詳しい)
投稿論文の査読のしかたを考える
Suggestions for Performing a Good Review (↑のサイトより)
Reviewing a Manuscript for Publication (初めて査読する前に一読を勧められた)
Strunk, William. 1918. The Elements of Style. (第1版はパブリックドメインになって全公開、なお現在は第4版)
William Strunk, "The Elements of Style" (Japanese Translation) (第1版の日本語訳)


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The Elements of Style の中で、ABCっていう3つの表現を並べるときに "A, B, and C" って書くようにあったような気がするんだけど、よく見るのは"A, B and C" だよね?本が今手元にないんだけど、もしもってたら見てみて!昔の英語なのか、正式な英語なのかわからないけど、何でそういう風に書くのかの説明がないのがちょっと残念だったような印象が…。
僕は、A, B and C と書くけど、人に直してもらったらそこにコンマを入れられたり、次の人は僕がわざわざ付けたしたコンマを削除したり・・・結局最後は投稿する学会誌の人まかせになります。
日本語は主語が(英語に比べて)あいまいなので、それを英訳するとどうしても受動態が多くなってしまうみたいですね。
ところで僕は学生時代に査読は経験しませんでした。「これ読んで感想聞かせて」というようなことはありましたが。今はちょくちょく(というほどでもないか)やりますが、断ることも多いです。時間かかるし・・・仕事の山の一番ふもとの部分に入れて締め切りが近くなってあせります・・・
> shima
↓に第1版での説明が載ってるよ。
http://sut1.sut.ac.th/strunk/strunk.html#2
いまの第4版は少し改変されてるけど、基本的には同じ解説。A, B, and C のスタイルは曖昧さを回避するのが主目的みたいだけど、確かに A, B and C の方をよく見かけるよね。こっちはスペース省略のためとのこと。ウチの先生は後者の方を好むから、論文を書く際は and の前にコンマはいれないでくれって学生に頼んでた。この "Serial comma" の詳しい説明は Wikipedia にも載ってたよ。
http://en.wikipedia.org/wiki/Serial_comma
> びいさん
僕のアドバイザーもコンマを加えたり消したりで人生の貴重な時間を無駄にしてる、ってことで学生には(少なくとも先生と共著のときは)はじめから↑のスタイルで書くように言ってました。同じことは、ピリオドのあとにシングルスペースかダブルスペースかもあるんでしょうね。僕はメールとかの非公式文書はダブルスペースです。
査読ですが、僕らの分野だと実験系と理論系でわかれるんですが、ウチはかなり実験寄りなので学生でも査読ができるんだと思います。理論だと知識の浅い学生には厳しいでしょうから。1編の論文の査読する人数を考えると、投稿される論文数の数倍の人が関わってることになるんでしょうね。。
ご無沙汰してます。
査読はなぜかぼくのところにもなぜかたまに来ますが、英文法まで添削するほど英語力はないので、研究内容だけ理解しようとしていました。でも日本人の書く英語ってなぜかわかりますよね。。。前期にライティングの授業を取っていたのですが、ぼくもその本を買って勉強し直してみます。
> robo さん
いえいえ、僕もそんな英語力全然ないです。でも、初めてのときも今回も、きっと共著者(つまり教授)がほとんどチェックしてないんじゃないかと思います。英語がノンネイティブの学生が〆切ギリギリに書いて提出したような、そんな印象を受けました。
The Elements of Style は勉強するぞ!って感じより、空いた時間にさらさらっと読むくらいの感覚で十分だと思います。でも、何回か読まないと(少なくとも僕の)頭には定着しません。。
The Element of Styleは日米教育委員会のイベントでスピーチしていたMITの教授も紹介してましたね。こっちに来てから思い出したようにアマゾンで購入したけど、置物と化しています(笑)。いつか読もうと思っているのだけど、そのいつかはまだ先の模様。