January 2007 Archives

先セメスターで卒業するための授業単位数は揃ったので、もう授業を履修する必要はなくなった。面白い授業があれば聴講しようと思ったけど、特に興味を惹かれるクラスがなかったし、5月頃に受ける予定の GBO と呼ばれる口頭試験もあるので、結局何も取らないことにした。その代わり、ティーチング・アシスタント(TA)をすることになった。リサーチ・アシスタント(RA)は日本の大学じゃあまり馴染みがないけど、TA は少なくとも理系学部だったら聞いたことがあると思う。授業や実験、採点の手伝いをするのが主な仕事。博士号取得に TA 経験が必須というのは、日本の大学院ではほとんどないと思う(でも実際には少なからずやると思うけど)。ホプキンスの機械工学科では、卒業までに最低2回 TA をすることが義務付けられている。

来る GBO に備えて、できれば昨年度受講した線形システム(Linear Systems)の TA をやりたかったけど、その担当教官の学生が優先的に採用される傾向があるので、申し込んだら既に締め切られていた。できれば大学院用クラスがよかったけど、結局学部生用のクラスになってしまった。院生用のクラスの方が内容は難しいけど、履修人数は少ないし、みんなある程度常識があるので、院生の方がいいと聞く。一方学部生だと、計算用紙や下書きのようなひどい答案があったり、良い成績を取ることに固執しているため大変な目に遭った話(100点中99点の答案を持ってきて1点のために30分間延々と抗議された、携帯番号を学生に教えてしまった哀れな TA, etc.)とか、カンニングを発見してその学生が退学処分になった話などをちょこちょこ聞いた。どれも起こらないのが理想だけど、今日締め切りだった宿題で既に1番目のチェックポイントは通過されたので、残り2番目と3番目が起きなければいいけど。。

この授業は講義と実験とがあって、講義用の TA が自分を含めて2名、実験が1名。講義用と言っても実際に授業を受け持つわけではなく、宿題の採点とオフィス・アワーを受け持つ。オフィス・アワーとは、授業や宿題の質問を受け付ける時間。質問に来る人数が少なければ一人ずつ応対すればいいけど、学部生用のクラスは結構質問に来る学生が多いし、つまづくところは大体みんな一緒なので、担当教官からは宿題に似た問題演習をするように言われている。昨日初めてやったけど、やっぱりみんなの前に立ってテンポ良く進めていくのは難しい。TA が二人いるので隔週だから、2週間後は今回よりもうまくできればいいけど。

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父親たちの星条旗

硫黄島からの手紙
年末年始日本に帰ったとき、『硫黄島からの手紙』と『武士の一分』を観ようと思っていた。でも、誘った友人は既に両方観ていたので断念、じゃあ後日行こうかと思ったけど、結局都合がつかずどちらも観ずに戻ってきてしまった。次回帰ったときに DVD かなと諦めてたけど、Letters From Iwo Jima (硫黄島からの手紙)がちょうどこちらでも封切りになった。というわけで、若干ネタバレを含むけど、映画を観た感想。

この映画に関しては、きっと日本の方がたくさん宣伝されていると思うし、硫黄島に関する特番やインタビューも放映されていると思うので、敢えて大まかなストーリーに触れる必要はないと思う。それに、自分は恥ずかしながら硫黄島の戦いを今回初めて知ったので、正確に語るだけの知識も持ち合わせていない。でも、わずかだけど違う視点から観ることができたのでは、とは思う。

まず一つに、今回、直前に日本で見てきたものの影響がある。もうアメリカに来てから2年半が経つけど、よく思うのは「自分は日本のことをほとんどわかってない」ということ。多分外国に出てある期間暮らしたことがあれば、そう感じる人は少なくないと思う。自国の文化も理解してなければ、歴史も大してわかってない。日本に関することを訊かれても、いつも満足の行く答えを言えず恥ずかしい思いをする。そこで、冬休みにとりあえず靖国神社に行ってみようと思った。理由は行ったことがなかったから。そして広島にも行ってみたいと思った。原爆ドームがどんなものか知りたかったから。靖国は近いから行けたけど、結局後者は目的地が広島から南九州に変更になってしまった。その代わり、鹿児島・知覧にある知覧特攻平和会館を訪れる機会に恵まれた。

そもそも2本の邦画を観たいと思ったのは、ただなんとなく。せっかく日本に行くから邦画を観たいな、くらいの軽い気持ちだった。でも、靖国神社にある軍事博物館の遊就館、そして知覧特攻平和会館を訪れたあとに硫黄島からの手紙を観たので、なんだか余計に胸が締めつけられる思いだった。

遊就館には硫黄島の戦いに関する資料も多くあったけど、映画の影響か人だかりがすごく、自分はまだ映画を観る前だったのでそれほど関心もなく、あまり見ないでとばしてしまった。その代わり、特攻隊員たちの時世の句が目に飛び込んできた。閉館時間が迫っていたため、第二次世界大戦ブースはゆっくり見られなかったけど、それでも心が重くなるには十分だった。その1週間後、南九州旅行で知覧特攻平和会館を訪れた。ここはその名前の通り、鹿児島・知覧から飛び立った特攻兵たちの遺品・関連資料が展示されている。知覧からの特攻隊の総攻撃が始まったのは硫黄島の戦いよりも後なので、ここで見た遺書等が直接映画と結び付いているわけではないけど、どちらも同じような状況下で戦争に駆り出された若者たちの姿であることに変わりはない。映画中に日本兵が手榴弾で自決する場面を見て、遊就館・特攻平和会館で見た文面が思い出され、居た堪れなかった。

もう一つ、この映画をアメリカで観たのはある意味貴重な体験だったと思う。日本の映画館で多くの日本人とこの映画を観るのと、こっちでアメリカ人に囲まれて観るのとでは、きっと雰囲気が違うと思う。同じ場所で同じ映画を観ても、きっと周りの観客とはまったく異なる視点で観ていたので、言葉では上手く表現できないけど、とても不思議な感じだった。でも、別に何かが起きたわけではない。ただ、決死の覚悟で天皇陛下万歳!と繰り返す日本兵を彼らはどういう気持ちで観たのだろう?投降した日本兵が米兵に射殺される場面を観て、彼らはどのように感じたのだろう?、という問いが頭に浮かんだ。アメリカの映画館は、観客の喜怒哀楽がわかりやすい。終始水を打ったようにみんなが観ていたのが、この問いへの回答なのかもしれない(途中退席した人も何人かいたけど)。もう公開終了してしまったけど、第一部の『父親たちの星条旗』もアメリカの劇場で観たかった。

最近、憲法改正のこと、特に憲法第9条のことが話題になっているけど、自分としてはこれは変えるべきではないと思うし、ましてや非核三原則は永遠に守るべきだと思う。兵器がある限り、戦争が起きる可能性は決してなくならない。単なる綺麗ごとにしか聞こえないだろうし、核ミサイルを打ち込まれたら終わりだろうけど、でも強くそう思う。軍事技術開発が世界の技術の発展に大きく寄与しているのは紛れもない事実だけど、技術者は殺戮兵器を作るために研究するべきじゃない。ノーベルは、人を殺すためにダイナマイトを作ったわけじゃない。


【補足】
自分が知らなかったからと言って一般化するのは明らかに間違っているけど、この映画以前に硫黄島のことを知っていた日本人はどれくらいいるのだろう?研究室と家にいるアメリカ人10人に訊ねたら、Iwo Jima のことはほとんどが知っていた。もちろん、中には沖縄すら知らなかったり、硫黄島の戦いが第一次大戦か第二次大戦かあやふやな人もいたけど。栗林中将まで詳しく知ってたのは、ヒストリー・チャンネルが大好きな人だけだった。一方、第一部の表紙にも使われている、擂鉢山にアメリカ国旗を掲げる写真(硫黄島の星条旗)はみんなが知っていた。1945年にピューリッツァー賞の写真部門を唯一受賞した、特にアメリカでは相当有名な写真だそうだ(多分それが第一部の話だと思うけど)。

● 参考
- 硫黄島探訪
硫黄島に関すること、硫黄島の訪問記、硫黄島の戦いのまとめなど。
- 祖父の硫黄島戦闘体験記
硫黄島から生還した方の回想記。かなり長いけど、まさにノンフィクション。
- 硫黄島の戦い / Battle of Iwo Jima (ともに Wikipedia より)
- 米軍の実際の記録映像から作られた短編ドキュメンタリー映画
1945年に作られた To the Shores of Iwo Jima という映画。すさまじいの一言。撮影した人はものすごい。著作権上問題がありそうな気もするけど。。。

<その1>

<その2>

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・病気に負けない「最強のイネ』を作り出す秘訣
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・味を感じるセンサーや匂いを感じるセンサー付きの携帯電話ができる?
・家事の順序、渋滞フリーの道路作り、効率よい工場生産、すべてコンピュータで解決
・「一つの問題の解決は新たな問題の始まり」である数学の公式
・クリーンで安全な、新しい「核融合」でエネルギー問題を解決
・「航空宇宙工学」と「デザイン」との関係
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大変遅ればせながら、あけましておめでとうございます。長い間ごぶさたしていたけど、年末年始はついに西海岸デビューを果たし、昨年同様日本にてお正月を過ごしました。ボルチモアに戻ってくる直前には、これまた初めての九州旅行にも行ったりと、忙しくも充実した楽しい2週間を過ごせました。おかげで、先のセメスターで溜まっていた鬱憤が十分晴れ、これから始まる研究中心の生活のためのエネルギーが蓄えられた気がする。とは言っても、ここアメリカはいきなり3連休(1月第3月曜日はマーチン・ルーサー・キング牧師の日)なので、残念ながら本格始動は1/16からだけど =p

去年は1月もクラスを取らされたりその後に Qualifying Exam を控えていたこともあって、なんだか慌しいお正月だったけど、今年は2週間ちょっとの休みが取れた。日本に帰ったその日から友人らと食べ歩き・飲み歩きな毎日だった気もするけど、ちょっとだけ言い訳をすると、大晦日から正月三が日、アメリカに戻る直前の九州旅行は家族と過ごすための時間に当初から割り当てていた。ただその日程が変わったことで、その後に予定を入れてしまったのは自分が悪いのだけど。アメリカに来て以来、家族の重要性は日本にいたときとは比較にならないほど実感しているつもりなので、ちょっと反省。でもその代わり、多くの友人に会えて色々な話をきけたことはよかったし、収穫にもなった(ただの飲み話で終わったのも多いけど)。

その中から得て、今年はぜひ実行に移そうと思ったのが、常に手帳を持ち歩くこと。その日のスケジュールを書き込むのではなく、その日に終わらせるべきことを書く。昔から父親には短期・中期・長期的な目標を持つように言われているけど、たいてい頭の中で考えるだけで、実際に書き出して実行することはあまりなかった。この話題を提供してくれた友人も話していたけど、今までにそういう手帳術みたいな本を読んだこともあったけど、結局やろうとは思わなかった。「ふーん、まぁ今度試してみよ」で結局やらずに終わってしまう。でも、頭の中で思うだけと実際に目に見える形にするのとでは、かなり目標達成率が違ってくるはず。なんとなくやろうと思うのと、絶対やらなくちゃと思うのが非常に違うのは、週2回は泳ごうと思ってあまり泳がなかった昨年の経験が大いに物語ってる。

自分が一番発奮するのは、友達から言われたとき・友達がやったとき。中学3年の後期、それまで生徒会に一切関わったことがないのに突然副会長に立候補した友人に刺激され、これまたまったく経験がないのにいきなり自分が生徒会長に立候補したことを、今回の帰国でその彼に会って思い出した。手帳のことを話してくれた友人は、単なる関心事だったのを実行に移そうという気持ちに変えてくれた。そんな素敵な友人たちに巡り合えて感謝してるし、自分からも何らかの刺激を与えられればと思う。

そんなわけで、とりあえずは旅行中に撮った写真の整理&時差ぼけの解消から。今年もどうぞよろしくお願いします。

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