April 2007 Archives


ボルチモアで一番(というか唯一!?)気に入ってるのは、東海岸大都市へのアクセスのしやすさ。車だと、DC までは1時間弱、フィラデルフィアは2時間、ニューヨークも3時間半程度で行ける。アメリカだと車で3〜4時間は『お隣さん』感覚らしいから、ここら辺は十分圏内に当たる。先セメスターまでは授業を取ってたので学期末は修羅場だったけど、今セメは唯一の TA の仕事は終わったし、学期末になって時間にゆとりができたので、この週末に2回目のフィラデルフィア観光をしてきた。

一度目に行ったときはまだアメリカに来たばかりで、夏期英語集中講座のあとの夏休みを利用して、アムトラックで東海岸を回ったときだった。当時は車がなかったので電車だったけど、今回は車で。ボルチモアーフィラデルフィア間は I-95 のみ1本で行けるので、本当に距離÷時速の時間で行けてしまう。

前回、フィラデルフィア市庁舎周辺の洗練された街並が気に入ったけど、今回、以前は回れなかったフィラデルフィア美術館や大学街まで足を伸ばし、緑が豊富で美しい街並がとっても気に入った。特にゴッホのひまわりなどが展示されている美術館、想像してたより遥かに大きくて圧倒された。毎回反省することだけど、美術館とかは時間にゆとりを持って行かないと、もったいない見方で終わっちゃう。

前回は歩きだったので全然気付かなかったのは、車の運転の荒さと道の狭さ。ボルチモアの運転が穏やかなんてとても言えないけど、フィラデルフィアの方が運転が荒かったように感じた。狭い道路が多かったから余計にそう感じたのかもしれないけど。

あと前回も食べたフィラデルフィア名物のフィリー・チーズ・ステーキ、今回は友人Mさんに聞いた、地球の歩き方にも載ってる有名店 Jim's Steaks に行った。着いたらびっくり!まるで日本の有名ラーメン店みたいに人が並んでた。でも、並ぶに値する美味しさで大満足。さすがに毎日食べたいとは思わないけど。

そして今回の目玉の、料理の鉄人・森本正治のお店 Morimoto. ここ目当てで行ったので、$80もするおまかせコース料理を頼んだ。創作和食のオンパレードで、そばのカルボナーラが唯一アメリカっぽい日本食アレンジでいまいちだったけど、その他はどれも半端なく美味しかった。先日、予想外に多く振り込まれていた TA の給料様々でした。ちなみに、日本人スタッフが多いのかと思ったけど、ウェイターはほとんどがアメリカ人、客層もアメリカ人中心。入り口は Morimoto 以外は何も書かれていなくて、事前に知らない限り、何のお店かもわからないし、入ろうとも思えない雰囲気だった。

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今日、指導教官の共同研究者の医師の計らいで、ダ・ビンチ(詳しくは先日の研究紹介を参照)を使った手術に立ち会う機会に恵まれた。すぐひょいっと行けるのは、ホプキンスの病院には約1.5億円もするダ・ビンチが2台もあるから。こういう環境は本当に恵まれていて贅沢だと思う。


(c) Intuitive Surgical, Inc.


cited from Wikipedia

ダ・ビンチを使った手術のビデオは何度も見たことがある(運が良ければ、ここでオンライン生中継が見られる)けど、実際に手術室の中に入って直に見たのはもちろん初めて。手術衣に着替え、まるで研修医みたいな気分。ノート持ち込み許可をもらえたので、色々とメモしてきた。

事前に持ってたのは白い巨塔のイメージくらいだったので、術中の雰囲気にはちょっとびっくりした。まず世間話は当たり前、噂で聞いた通り音楽は掛けるし、手術室への出入りも結構頻繁。定時だからか、途中で帰っちゃった人もいた。もちろんこれが一般的かはわからないけど。

専門じゃないし、当然英語(医学用語は難しい。。)なので、どこまで理解できてるかわからないけど、今日の症例は前立腺癌。アジアでは割合は低いけど、ヨーロッパ、特にアメリカではかなり一般的な癌だそうだ。前立腺なので男性のみで、50代以降に多いらしく、今日はその典型的な患者だった。

手法は、前立腺(prostate)を全摘出し、膀胱(bladder)と尿道(urethra)を縫合。結構、タフな手術だそうだ。まずはじめに、肛門からの触診、腹部の剃毛をし、腹腔鏡手術なので穴を開ける部分をマーキングする。そして(腹腔内はスペースがないため)ガスを送り込んでお腹を膨らませ、先ほどマーキングした部分に穴を開け、ロボットアーム(ロボットアームと言っても、内視鏡に使われる器具と同じ)を挿入する。ここまでの流れは、手術室にいないと見られないので、なかなか貴重なシーンを見られてよかった。ちなみに、患者は全身裸で、局部と腹部はずっと晒されっぱなし。本人は全身麻酔でわからないだろうけど、ああいう扱い・光景を見ると、ちょっと自分だったら嫌かもってくらい、かなりおおっぴらだった。

手術が始まると、患者の周りをスレーブ・ロボットが囲い込んでしまうし、内視鏡なので外側からは何もわからないため、モニタに映し出される映像を見ていた。基本的には執刀医が同じ部屋内の少し離れたマスタ・ロボットを操り、患者のそばに助手が一人いる。あとは、器具を準備する人、患者の状態をチェックする人などなど、全部で7〜8人くらい。助手は実際に患者に触れるので、当然手袋もするし、術衣の上からさらにもう1枚滅菌された手術着を身につけていたけど、執刀医はロボットを操るので、結構ラフな服装だった。普通に素手なので、手術中もパソコンに向かって報告書を書いたり。途中何度か研修医と交代し、指導もしていた。さらに最後には、自分たちにも動かさせてくれた。プロトタイプは実際に研究で使ってるし、市販のも以前に実験で扱ったことはあるけど、まさか手術中に操らせてくれるとは思わなかった(厳密に言うと、手術完了後、でもロボットアームはまだ患者の体内にあった)。

手術後、なんと摘出された前立腺を触らせてもらえた。体内から出て来たばかりなので、当然生温かい。自分の今の研究テーマの1つが、こういう臓器の機械的性質を遠隔操作中にオンラインで推定すること。簡単に言えば、どれくらい固いかのばね定数等を推測する。前立腺の中に癌塊があって、それは他の部分より固い(その医師によれば、普通の部分は親指付け根の腹の辺り、癌塊は関節くらいの固さ)。いまのダ・ビンチでは、この固さの違いが操作者にほとんど伝わらないので、それを推定できればより医師にとって手術しやすくなる。実物を触る機会なんてまずないから、とっても貴重な経験だった。

手術時間は5時間と長くてかなり疲れたけど、本当に見学できて良かった。実際に体験したことで、自分の研究へのモチベーションにもなったし。ドイツに行くまでのあと1ヶ月ちょっと、頑張ってプロジェクトを進めなければ。。。

● 参考
- 名大医学部:内視鏡手術について
- 前立腺癌について
- Wikipedia: Prostate Cancer

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Prof. Ishii demonstrating Topobo

今回の学会で一番面白かったのは、MIT・メディアラボの石井教授の特別講演。1時間じゃまったく収まりきらないくらい数々のプロジェクトが紹介されたけど、それでも紹介されたのは一部に過ぎないそうだ。一番最後に、ハプティクス・コミュニティへのメッセージとして、バーチャル・リアリティー(仮想現実)の世界から飛び出して、実際の物体を介した研究への転換を提案していた。確かにそれができれば、大きなブレイク・スルーになりそう。でも、やっぱり難しそうだけど。

今回の学会でちょっと気になったのは、psychophysics の研究が多過ぎたこと。psychophysics とは、簡単に言えば、人間を被験者にしてある作業(=実験)を行わせ、それを統計的に分析する研究分野のこと。ハプティクスとは触覚・力覚を指すため、よく視覚と比較して語られることが多い。よくあるのが、ある実験を (1) 視覚のみ、(2) 力覚のみ、(3) 視覚+力覚で行った際のパフォーマンスを比較する、というタイプ。視覚・力覚の役割を調べるためにはこういう実験は重要だし、こういう実験を行ったときの人間の主観(操作しやすい・操作しづらいなど)が大事なのもよくわかる。何かを商品化するときには、実際に扱った人の感想が一番重要だろうし。でもそこに辿り着くまでに、同じ手法を用いるのもどうかと思う。なんだかあまりにも『そんなの当然じゃん』というのが多い気がする。実は今回自分が発表したのもこの分野に含まれるもので、この手の安易な研究にはかなり辟易して来た。今回発表したテーマも最初は面白いかなと思っていたけど、あとから少し考えてみたら至極当然な結果だった。別に psychophysics が悪いと言ってる訳ではない。ただ、同じような手法の研究がこのまま増え続けたら、なかなかブレイク・スルーは生まれないと思う。

How to use chopsticks

Lucky Cat and Verners


さて、学会以外で面白かったのは、日本が初めての外国人友達が多かったこと。今回、同じ学校からは8人(配偶者を含めると10人も!)が日本へ行き、自分とアドバイザー以外は日本が初めてだった。自分にとっては当たり前でも、彼らには新鮮なことばかり。例えば、
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・ウォシュレットにびっくりしてよけたら、壁が水浸しになった。
・お決まりで、ビデも試しちゃった男友達(でも bidet がウォシュレットって意味らしい)。
・ホテルの宿泊プランが朝食付きで、和食を選択したら謎のネバネバする臭いものが出てきた(もちろん納豆のこと)。
・英語を話せる店員がいないおでん屋に入って、ベジタリアンがいたから注文時に大変だったこと。
・お好み焼きを注文したら、何かウヨウヨ動いてるものが乗ってた(この話は以前聞いたことがある。鰹節です)。
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などなど。築地の場内市場に行って朝から寿司を食べたけど、中西部出身のアメリカ人夫婦はやっぱりあまり好きにはなれなかったみたい。カナダ国籍を持ってるインド人は、納豆以外は全部食べられたのにはびっくり(梅干しもウニも食べた)。あと、釜飯・焼き鳥はかなり好評だった(鳥ぎんには英語メニューもある)。まぁ、みんなに楽しんでもらえたみたいで良かった。

今回の滞在でもう一つ嬉しかったのが、母校・東工大制御の謝恩会(南棟祭)に出席できたこと。東工大制御では、卒業式の夜に学科の建物内で研究室ごとに出店(?)をする。焼き肉とかカレーとかパスタに始まり、おでんやたこ焼き、バーをやる研究室なんかもある。基本的に関係者のみなので、食べ物を買うという概念は存在せず、OB/OGの寄付や教授・学生によって賄われる(寄付忘れて帰ってきてごめんなさい。。)。外に出てどこかのホテルでやるより、こういう方がアットホームな雰囲気なので、普段はあまり交流がなくても、こういう機会に他の研究室にも気軽に顔を出せる。卒業する学生は先生へのお礼まわりや、久しぶりに訪ねた卒業生も色々な先生方と話せる機会があるし。

学部時代の頃ほとんど勉強をしなかったので、東工大を卒業したときに自分のことを認識していた先生は多分ほとんどいなかったと思う。でも、今回南棟祭に参加させて頂いて、昔の研究室仲間に暖かく迎え入れてもらったり、以前の指導教官に色々な先生方を紹介して頂けたり、ちょうどこの時期に帰ることができて本当によかった。まだ何も成し遂げてないけど、何か将来的に恩返しができればと思う。


● 今回撮った&もらった写真
- サムネイル
- スライドショー

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撮った写真の整理にまだ時間が掛かりそうなので、忘れないうちに先に旅行記(?)を。

3/20-3/27まで、つくばで開かれた World Haptics Conference 2007 という学会に参加。今回がアメリカに来てから初めての学会発表。個人的にはもうちょっと違う場所が良かったんだけど(なんて言うと、つくばの人に怒られちゃうけど)。今年はたまたま日本でやっただけで、国際学会なのでもちろん英語発表。

通常、ロボット系で最大の IROS とか ICRA などの学会は、マルチ・セッションと言って、それぞれのトピックごとに部屋が割り当てられ、同時進行でいくつかのセッションが進められる。今回のは特定分野・ハプティクスに関する学会なので、シングル・セッション。つまり、大きな部屋1つにみんなが集まる(ただし、デモやポスターは別の部屋)。一応2年半ちょっとこっちで生活してきたわけだし、やっぱりつくばなので日本人の参加者が多かったので、あまり情けない発表はできないという、ちょっと変なプレッシャーがあった。まぁ、誰もそんなこと気にしてなかったと思うけど。

日本なのでリラックスできるとはいえ、自分の発表は最終日最終セッションのトップバッター。普通、小型マイクはスーツの襟に固定して機械はポケットの中に入れるんだろうけど、発表内容と質疑応答のことばかり考えて壇上に上がったので、すっかりマイクのことを忘れていた。そして、マイクを持ちながら話し始めてしまったので、結局発表終了まで左手にマイク、右手にレーザーポインター、ジェスチャーほとんど使えず。この方がよっぽど恥ずかしい。。。

質問は座長の一人からしか出なかったので、本当に聴衆に話が伝わったのかちょっと不安だけど、まぁみんなにはなかなか良かったと言ってもらえた。受けた質問、最初はちょっと的外れな回答をしちゃったけど。というわけで、可もなく不可もなく、70点くらいかな。次回はもっと落ち着いてできるようにしなければ。

今回は、去年のパリ・サマースクールで会った友人たちとも再会できたり、その一人のNさんの計らいで、日曜日にも関わらず東大の研究室見学ができたり、初めて日本を訪れた研究室仲間の観光案内をしたりと、1週間の滞在とかなり短かったけど、いつも以上に充実していた。もっと日本食(特に食べ損ねたラーメン!)を堪能したかったけど、あまりゆっくりもしていられず残念。

それにしても、いつも日本に帰るときはほとんど時差ぼけがないんだけど、アメリカに戻ってくると本当に大変でちょっと困る。一度うたた寝をしたら、そのあと3日間は夜眠れず、朝起きられないみたいな。どなたか、おすすめの時差ぼけ対策あれば教えてください。

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