July 2008 Archives

本日2008年7月25日、47歳の若さで逝去されたそうです。心よりご冥福をお祈り致します。

RandyPausch_Wiki_2.jpg


- THE PATH: The Last Lecture of Dr. Randy Pausch
- THE PATH: 最後の授業
- CMU: An Enduring Legacy
- Wall Street Journal: Professor Aimed 'Last Lecture' At His Children ... and Inspired Millions

TrackBacks (0) Comments (2)

WALL-Eposter.jpg

アメリカの会社では、職員がみんな心地良く働けているかどうか、ということを上層部は気にしているように思う。快適に働けるようにするために、色々なサービスやイベントを開催する。それが従業員のモチベーションアップに繋がり、最終的には企業の利益に反映されるからだと思う。

その一環かどうかわからないけど、指導教官の提案で、研究室全員で映画を観に行くことになった。平日の真っ昼間、午後2時開演。題材がロボットに関連しているからってこともあるけど、それでも日本じゃ考えられない。まぁ、アメリカでもめったに聞いたことがないけど(ランディ・パウシュ教授は、終身雇用権を取得後、研究室メンバー全員をディズニーワールドに連れて行った)。

観たのは WALL-E(邦題:WALL・E/ウォーリー)で、ピクサーとディズニーの合作映画。舞台は未来の荒廃した地球から始まる。西暦2100年頃、地球上のすべてのサービスを提供していた会社が、地球政府として地球脱出を企画した。荒れ果てた地球を WALL-E (Waste Allocation Load Lifter Earth-Class) と呼ばれる掃除ロボットに託し、人間は宇宙船に乗ってしばしのあいだ宇宙に逃れ、掃除されて綺麗になった地球に戻る計画だった。ところが計画は失敗し、一台のロボットのみ残り、700年近くものあいだ、一人(?)でせっせとゴミ処理をする毎日。ウォーリーはゴミ収集をしながらも、自分の好きながらくたを集めたり、「ハロー、ドリー!」というミュージカルをテレビで繰り返し観ているうちに感情が芽生えた、愛くるしいロボット。そんなところへ、ある日突然、空からイヴという姿・形全く異なるロボットが宇宙船から舞い降りてきて、ウォーリーはイヴに出会う。孤独だったウォーリーはイヴに惹かれるのだけど、イヴは宇宙船に回収され母艦に戻されてしまう。それを追いかけて行ったウォーリーとイヴのラブストーリーが描かれている。もっと詳しいストーリーはこちらの映画批評(ただし多少ネタバレ含む)を参照下さい。



個人的に面白いなと思ったのは、会話らしい会話が非常に少なかったこと。ピクサーは、会話がまったくない短編映画も作り、アクションだけで面白さを表現する、チャップリンのようなことも得意だ。今回の映画も言葉の喋れないロボットが登場しているため、ほとんど会話が少ない。その代わり、効果音やしぐさで感情をうまく表現している。言葉が少ない分、感情移入がしやすいかもしれない。あとは映画内に隠されている(と思われる)メッセージ。地球の環境汚染や、アメリカ社会を風刺したとも思えるような宇宙船の人間たち、そんなちょっとした引き出しが面白い映画と対照的に印象的だった。そういえば、iPod が登場したり、ウォーリーに Mac の効果音が適用されていたりするのは、スティーブ・ジョブズの携わったピクサーだからだろうか。

他のピクサー映画に違わず、ディズニーと提携しているからか、子どもが観ても非常に楽しめる内容だし、大人が観ても映画の後は非常に清々しい気持ちになると思う。映画館を出た後、観て良かったなと思えるのが、ピクサー映画の神髄なのではと思う。

● 参考
- Apple: WALL-E Trailer
- 日本の公式ウェブサイト(日本では、12/20公開予定)

TrackBacks (0) Comments (0)

写真提供:UMMS Photos

先週の木〜金曜の2日間、ボルチモア・ワシントン空港近くのホテルにて開かれた、ちょっと変わった学会に出席した。もともとメリーランド大学医学部の内部向けミーティングだったのを、外部にも公開して知識の共有化を図り、そして今年は、飛行士と医師との共通点を探る副題を掲げて開かれた。飛行士と医師の共通点と言われても、すぐには思いつかないかもしれないけど、ときには共に極限状態の中で任務を遂行するし、また、宇宙飛行士には医師免許を持つ人が少なからずいる(例えば向井千秋さん)。さらに、飛行士は事前訓練にシミュレーションをかなり使うそうで(例えばある任務を遂行するのに、実際の8倍分時間ものシミュレーションをしてから臨むそうだ)、そうした異分野からの知識・経験を、今後の医療発展に活かそうという試みだった。

初日は、空港の格納庫にて、飛行・手術から学んだ教訓を、飛行士・医師が体験談を共有し、その後は緊急救助用ヘリと、F-18 ホーネットを実際に見て・聞いて、かなり貴重な体験をした。晩餐会には、宇宙飛行士兼医師のデーブ・ウィリアムズ氏を招き、彼の生い立ちや宇宙での体験談を披露してくれた。二日目は、引き続き終日ワークショップで、人間工学やシミュレーションなど、直接自分の研究に結びつくものはあまりなかったけど、なかなか聞けないような面白い話を聞くことができた。

個人的に一番興味を持ったのが、シミュレーション分野でスティーブ・ドーソン医師の Simulation: The Ideal vs. Real で紹介された simulation と emulation の違いについて。これが一般的な解釈かはわからないけど、彼の説明では、シミュレーションとはそれを体験することで、実際に行う際に役立つもの。一方エミュレーションとは、実際のものとはよく似ているように見えるけど、実際に行う際にはほとんど役に立たないもの(例えば、ゲームの Guitar Hero のようなもの)。現在の航空分野では、シミュレーションが確立され、非常に有効活用されている。一方、医療分野においては、シミュレーションというよりもまだエミュレーションの段階なのでは、と疑問を投げ掛けている。これは人間の体の構造が複雑すぎて、飛行機のシミュレータのようには、医療シミュレータが簡単には作れないことに起因している。医療分野でも、訓練として十分に機能するシミュレータが出回るようになるには、まだだいぶ時間が掛かると思うけど、一エンジニアとして今後わずかでも貢献できればと思う。

ちなみに出席者の多くは医師で、あとは医療機器を扱うメーカーからの技術者と招かれた飛行士が少し、学生は自分ともう一人同じ研究室からの同僚の二人だけだった。ついでに蛇足だけど、BWI 空港近くのマリオットホテルでの食事は、アメリカで食べた料理の中でもかなりのトップランクに入るくらい、とても美味しかった。


● 参考
- UMM: Innovations in the Surgical Environment Conference Brings Surgeons and Aviators Together
- UMSOM: Conference Studies Innovations in the Surgical Environment
- Baltimore Sun: Surgeons, pilots trade safety ideas

TrackBacks (0) Comments (0)