[書評] 科学技術英語徹底トレーニング(ロボット工学編・バイオテクノロジー編)

先日もご紹介させて頂いた、「科学技術英語徹底トレーニング」シリーズの最新刊が、アルク社より発刊されました。今回は、「ロボット工学(人見憲司・著/富山健・監修)」編「バイオテクノロジー(人見憲司・著/近藤哲男・監修)」編の見本を、アルク社の菊野啓子様、現 h+m lab(エイチエムラボ)の岡田真紀様より頂戴致しました。どうもありがとうございます。

基本的な本の構成は、前回の「資源・材料・エネルギー工学」編「環境工学」編と変わっていませんので、おおまかには同一の感想になると思います。つまり、近い将来に論文執筆・ポスター発表を控えている大学・大学院生にぜひお勧めしたい本です。今回の2編を合わせると、これまでに全部で4分野出版されており、また2011年3月には、ライフサイエンス編も発刊予定とのことなので、ぜひ自分の専門に近い本を買うことをお勧めします。というのも、今回、私の専門分野であるロボット工学編に目を通し、やはり他分野とは格段に理解度が異なることから、余計にそう実感しました。本書全体を通して、その分野で出版された論文・ポスターを題材にした、多くの解説が丁寧に書かれているため、やはり該当分野の知識があるのとないのとでは、読みやすさ・理解度に違いが生じてくるのではと思います。また、その分野の重要かつ基礎的な単語も紹介されているため、英語で専門用語を学ぶのには非常に有用です。

ロボット工学編の監修を担当されている、千葉工科大の富山健教授とは、直接の面識はないのですが、私が留学前に富山先生のウェブサイトを偶然拝見して、出身大学・学科の大先輩であったことを知り、UCLA で博士号を取得された後にアメリカでしばらく教鞭を取られていたことを拝見し、勝手に大変励まされたことを覚えています。富山先生のアメリカ留学前、大学院生時代、プレゼンの秘訣を綴ったエッセイも、非常に楽しい読み物として仕上がっています。

やや残念だったのは、その分野の権威である監修者の先生方が、どれくらい細かくチェックしていらっしゃるのかがわからないのですが、少なくともロボット工学においては、Vocabulary Building の重要英単語の日本語訳が、あまり適切に感じられないものがあったことです。もちろん、スペースの都合上、詳しく説明できない部分もあると思うのですが、例えば、下記の3語を、追記・訂正するならば、

- haptics: 力覚・触覚の
- manipulator: マニピュレータ、操作する人
- neural network: 神経回路網 → ニューラルネットワーク

となると思います。最初の haptics はもう一方の「力覚の」という意味が抜け落ちており、一般的に manipulator と言えば、robot manipulator を指し、操作者は (human) operator と呼ばれます。最後の neural network は、もちろん意味としては神経回路網で合っていると思いますが、「ニューラルネットワーク」という言葉自体が、日本語の専門用語として定着していると、私は認識しています。

バイオテクノロジー編に関しては、監修者の先生の研究グループからの論文とポルトガルの研究グループのポスターが題材として取り上げられていたのですが、これは違う研究者の論文・ポスターの方が良かったのではと思いました。もちろん、査読という厳しい審査を通り抜けて、研究内容も英文の質も認められて論文が出版されていますが、せっかく科学技術英語のトレーニングをするので、例えば英語がネイティブの研究グループのサンプルの方が適切だったかもしれません。

そうは言っても、全体の完成度という観点では、論文の書き方やポスター作成を学びたい学部生・大学院生には、非常におすすめの入門書です。該当分野に近い専攻で、論文執筆・ポスター作成を控えている方は、ぜひとも手に取ってみて下さい。

TrackBacks (0) Comments (0)

0 TrackBacks

Listed below are links to blogs that reference this entry: [書評] 科学技術英語徹底トレーニング(ロボット工学編・バイオテクノロジー編).

TrackBack URL for this entry: http://www.thepath.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/510

Leave a comment