F-1 ビザと OPT に関して

アメリカの大学・大学院に進学後、現地で就職するとなると、永住権・市民権を持たない場合には、ビザが問題になってきます。最近1年弱のあいだに、学生ビザ(F-1)から F-1 + OPT(就労許可)、そして 就労ビザ(H-1B)と変わったので、これから数回に渡って、これらの事柄をまとめてみます。

はじめに断っておきますが、これから書くことは、すべて私個人の知識・体験がもとになっています。出来るだけ、信頼のおける文献を当たってはいますが、必ずしも正確性を保証する内容ではありません。そのため、最終的には専門の方(大学の留学生課の専門資格を持った職員や移民弁護士)などに確認して下さい。


● ビザ
ビザとは査証のことで、査証とは、「外国人の入国に必要な入国許可申請証明の一部」であり、「入国許可・在留資格とは別のもの」です(Wikipedia より)。


● 学生ビザ(F-1)
一般的な日本人(アメリカ国籍や永住権を持たない人)の場合、アメリカの大学や大学院に来る際に、学生としてのビザが必要になります。いくつか種類がありますが、一般的には、F-1 ビザを取得することが多いはずです。F-1 ビザ申請のためには、受け入れ校からの書類(I-20)が必要になります。なお、I-20 は Travel Signature と呼ばれる、所属大学からのサインが必要で、アメリカ国外に出て再度戻る際には、少なくとも過去1年以内に取得したサインでないと、再入国が厳しくなります。これをうっかり忘れてアメリカ国外に行くことは、結構犯しがちなミスです(その際には、所属大学の留学生課に連絡して下さい)。

F-1 ビザ保持者は、フルタイムでの滞在のみが許可されています。学業が主目的であるため、基本的に労働は認められていませんが、例外として、大学キャンパス内での仕事であれば、週に20時間まで認められています。学部生であれば、キャンパス内のブックストアやカフェテリア、図書館や留学生課での仕事などがあるでしょう。大学院生であれば、TA(Teaching Assistant)や RA(Research Assistant)もパートタイムとしての仕事に含まれます。RA の場合、実質労働時間が20時間を越えることは、特に卒業間近になれば一般的ですが、それでも形式上は20時間以内のパートタイム労働として区分されます。

在学中に、キャンパス外で仕事をしたい場合、CPT(Curricular Practical Training)という特別な許可申請が必要になります。専攻に関連する職務内容であったり、CPT を通して卒業単位を得られること(PhD 課程の場合は例外)など、いくつかの制約が課されます。また、フルタイムで CPT をすると、その期間分が、卒業後に申請可能な OPT から差し引かるため注意が必要です。なお、CPT は所属大学の留学生課を通して許可されるはずですが、私自身は CPT をしていないため、詳しくはわかりません。


● OPT(Optional Practical Training)
CPT は在学中のものでしたが、OPT は卒業後に申請できる労働許可です。一般的に、大学・大学院卒業後、すぐに就労ビザや永住権を得られることは非常に稀なため、一時的な労働許可をもらってから、就労ビザを取得することが多いと思います。その橋渡しとなるのが OPT です。OPT は、あくまで特別労働許可であって、ビザではありません。そのため、OPT 期間内であれば、卒業後であっても F-1 ビザのステータスを維持する必要があります。

2008年春に、OPT の内容に大きな変更がありました。私が申請した2010年10月の時点では、下記のようなことが特に注意する点です。ただし、これらは思いつく事柄であって、これがすべての条件・注意事項というわけではありません。

  1. 基本的に最長12ヶ月間まで。ただし、特別な要件を満たした場合、最長29ヶ月まで更新可
    最長29ヶ月まで延長するためには、2つの条件があります。1つ目は、大学での専攻が STEM (Science, Technology, Engineering, and Math) 分野に当てはまることです。2つ目は、雇用先が E-Verify プログラムに加入していることです。E-Verify とは、アメリカ政府が進めている、オンライン上で管理する移民情報システムのことです。大企業ではまず例外なく導入されていると思いますが、中小企業では加入していないところもあるため、その場合は STEM 分野専攻であっても OPT の延長は認められません。
  2. 卒業90日前から60日以内の期間のみ申請可
    学部課程や修士課程の場合、卒業時期が明確であることが一般的であるのに対して、PhD 課程の場合、いつ本当に卒業できるかというのは、最後の最後までわからないケースが多いと思います。大学やプログラムによってルールが異なるでしょうが、博士論文を最終的に提出する日が卒業日と定めているような場合、OPT 申請をいつすれば良いのか迷うかもしれません。
  3. CPT でフルタイムとして働いていた場合、その期間分が差し引かれる
    これは先に述べた通りです。そのため、在学中に12ヶ月間、フルタイムとして CPT で働いてしまうと、OPT の分がなくなってしまいます。なお、その際、項目1で述べた2つの条件を満たした場合、29ヶ月に延長できるかはわかりませんので、各自調べてください。
    【追記】shima さんから貴重なコメントを頂いたので、そちらも参考にしてみて下さい。
  4. 申請から許可までは、最長で90日掛かる
    アメリカでも大企業であれば、日本のように入社時期があらかじめ大まかに定められている場合があるかもしれませんが、ジョブオファーが出たらなるべく早く働いて欲しい、というケースも多いのではと思います。その際に OPT が出ていれば良いのですが、OPT がいつ出るかわからない状況で就業開始日までに間に合わない場合、最悪の場合、ジョブオファーが取り消し(厳密に言うと、OPT が取得できることが前提のジョブオファーになる場合が多いため、取り消しではないかもしれませんが)になる可能性も否定できません。OPT の申請は、時期によって混み具合が異なります。卒業シーズンと重なると、審査に要する期間も長いのが一般的ですし、90日以上掛かることも稀ではありません。
  5. OPT の最初の12ヶ月のあいだに、無職の期間は最大90日まで認められる
    裏を返せば、OPT 交付日から90日より長い期間、就業できていない状況だと、アメリカを出国しなければなりません。これは、2008年春以前にはなかったルールのようです。
  6. OPT は F-1 の延長なので、住所の変更や雇用先情報などは、所属していた大学の留学生課に逐次報告する必要がある
    これは OPT を受け取った際に、所属している/していた大学の留学生課より言われるはずです。また、OPT の最中も F-1 ビザなので、1年以内にもらった Travel Signature が必要になります。

次回は、H-1B のことに関して説明します。

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2 Comments

Hidekishima Author Profile Page on October 24, 2011 2:45 AM

過去、インターン時にフルタイムCPTで、現在パートタイムCPTで働いています。

> また、フルタイムで CPT をすると、その期間分が、卒業後に申請可能な OPT から差し引かるため注意が必要です。

CMUのCPTアプリケーションの説明書によると、CPTは12ヶ月が閾値で、それを超えるか超えないかでOPTへの申し込み可否にのみ影響するようです。

If you participate in 12 months or more of full-time CPT you are not eligible to apply for OPT. However, if you participate in fewer than 12 months of full-time CPT, you may still use all 12 months of OPT. Part-time (20 hours or less per week) CPT does not affect your eligibility for OPT.

パートタイムCPTの使い方ですが、まわりのF1ビザの学生を見ていると、論文を進める上などで企業内のリソースにアクセスする必要がある場合にリモートコントラクターとして雇用してもらうケースがあります。大学に居ながらVPNで企業内のデータなり計算資源を利用するという形態なので、便利です。

> Hideki
とっても有用な情報、どうもありがとう!遠隔地からでも働けちゃうのは、特にCS関連分野の大きなメリットだよね。

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