H-1B に関して

前回の続きで、今回は H-1B という就労ビザに関してです。

H-1B は、「特殊技能職」用の一時就労ビザです。就労許可が認められる特定分野において、学士号以上の学位を取得していることが条件です。また、H-1B は雇用主を通してしか発行されないため、ビザを申請するためには特定の雇用先が決まっている必要がありますし、転職等で雇用主が変われば、新しい雇用主を通して再度 H-1B に申請する必要があります。一般的に3年間のビザが発行され、最長6年までとなっています。

H-1B で厄介なことは、年間発行上限(cap)数が設定されていることです。2011年10月現在において、年間(会計年度で決められている関係上、毎年10月1日〜翌年9月30日まで)の新規 H-1B 発給数は、全体で65,000と定められていますが、修士号以上の学位取得者には、さらに20,000件余分に認可されます(つまり、修士号以上の学位を持っていれば、一般の65,000件の方か、もう一方の20,000件のどちらかに応募可能)。

この上限数の免除対象となるのは、大学等の高等教育機関や非営利の研究機関などに勤務する場合です。例えば、ポスドクや大学職員として高等教育機関に勤務される場合、この上限数や発行時期は全く関係ありません。また、二度目以降の H-1B 申請の場合も免除されますが、一度目に上限数制約下での H-1B 発行に限ります。例えば、大学勤務で初めての H-1B を取得したのち、一般企業に H-1B で転職する場合は、二度目の申請になりますが、一度目が上限制約下ではないため、転職する際には、上限数が課される H-1B 申請になります。

先に触れた通り、H-1B は会計年度と関係があるため、上限数のもとで新しく発給された H-1B では、その年の10月1日以降から勤務可能となります。H-1B の申請受け付けは、その年の会計年度が始まる6ヶ月前、つまり4月1日(もしくは、4月最初の営業日)から応募可能です。10月1日よりも前に承認されたとしても、H-1B のビザで勤務できるのは10月1日以降です。過去には、受け付け開始日の4月1日の時点で、発給数よりも多くの申請書を受け取った年があり、その場合は抽選で選ばれました。ジョブオファーをもらっていても、ビザが下りずに働けなかった人もいたそうです。ですが、リーマン・ショック後は不景気のため雇用が減少しているため、なかなか上限数にまで達していないようです。参考までに、近年の状況は以下の通りです。
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2008年度:2007年4月2日の受け付け開始日に、発給数の倍以上の約150,000通の申請書を受け取る。その後2日間は申請書を受け付け、それ以降は2008年度の応募は締め切り。
2009年度:最初の1週間で規定数に到達し、その後は受け付けしないと、2008年4月8日に発表。
(2008年9月にリーマン・ブラザーズが破綻)
2010年度:2009年12月22日に、ようやく規定数に到達。
2011年度:前年よりさらに遅く、2011年1月26日に規定数に到達。
2012年度:2011年4月15日の時点で23,500件のみ受理。いま現在の状況は、こちらで確認可能。

確実に H-1B を取るためには、少なくとも半年以上前に雇用を確保しているのが望ましいのですが、近年の不況が、ビザの面から見ると良い方向に影響しています(そもそも、ジョブオファーがもらえないと、就労ビザの申請もできませんが。。)。アメリカ国外に住んでいる人が初めて企業用の H-1B を取得しようとすると、景気の良かった時代には非常に困難だったのですが、近年では10月1日以降でも申請可能なので、敷居は低くなっていると思います。もちろん、これからどのようになるかはわかりませんが。

次回は、OPT と H-1B 申請で実際に体験したことをまとめてみます。

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