日米における履歴書と個人情報

アメリカのビザの話からちょっと逸れるけど、今日、会社の同僚から、「日本の履歴書には、顔写真を貼らなければいけないのか?」と訊かれた。なんらかのウェブサイトで読んだそうだ。一般的に知られている(?)ように、アメリカの履歴書には、年齢、性別、顔写真はまずない。そのため、日本人がアメリカの履歴書を見てびっくりするように、アメリカの人が日本の履歴書を見るとかなりびっくりする。多人種国家でジェンダーフリー、そして年功序列制度がないため、それらの項目が必要ではなく、むしろ雇用側が「平等」に審査することを主張するためだと思う。でも、書いちゃいけない、とも聞いたことがない。例えば、会社の顔を背負って顧客と接する役職の場合、容姿やスタイルが良いに越したことはないのではないか、と同僚から出てきた。むしろ、そういう役職に応募するのであれば、容姿やスタイルをセールスポイントとして、写真を貼ってもいいのではないかと。どこまで本気で言っているのかわからないけど、確かに一理あるかもしれない。

そこでふと思い出したのが、ちょうど1年前に、ジョンズ・ホプキンスの卒業生を招いて開かれた、ホプキンスでの就職セミナーでの話。ある卒業生曰く、(アメリカで就職活動をしているという前提で)、Google で自分の名前を検索してみなさい、と。このご時世、多くの Hiring Manager (日本で言う人事担当)は、インタビュー前の人物チェックとして、応募者の情報を、インターネットから集めるとのこと。実名が基本の facebook をはじめ、ブログや Twitter、大学卒業間もなければ、所属研究室での情報など、あらゆることが簡単に手に入ると。だから、見られたら困るようなことは、整理しておくように、というのがアドバイスだった。例えば、「見られたら困る」には、友達が勝手に facebook にアップロードした、酔っぱらったときの恥ずかしい写真なども入る。現に、そういうオンライン上の評判を管理・モニタリングするサービス(例えば、名前そのままの Reputation.com とか)まで出ている。

こうなってくると、ネットでは匿名が多い日本の場合、応募者を検索しても、なかなか情報は得られない。逆に、ネットでも実名が基本のアメリカの方が、履歴書に顔写真なんか貼ってなくても、インターネットから色々な情報を入手することが可能になる。年齢はわからずとも、少なくとも性別とどんな人種でどんな容姿かはわかる。もちろん(建前上は)そういう情報で応募者を取捨選択・合否決定することはないと言っているけれど、いまの時代のアメリカでの就職活動では、日本の履歴書以上に個人情報を提供する可能性があるように感じる。

TrackBacks (0) Comments (1)

H-1B に関して

前回の続きで、今回は H-1B という就労ビザに関してです。

H-1B は、「特殊技能職」用の一時就労ビザです。就労許可が認められる特定分野において、学士号以上の学位を取得していることが条件です。また、H-1B は雇用主を通してしか発行されないため、ビザを申請するためには特定の雇用先が決まっている必要がありますし、転職等で雇用主が変われば、新しい雇用主を通して再度 H-1B に申請する必要があります。一般的に3年間のビザが発行され、最長6年までとなっています。

H-1B で厄介なことは、年間発行上限(cap)数が設定されていることです。2011年10月現在において、年間(会計年度で決められている関係上、毎年10月1日〜翌年9月30日まで)の新規 H-1B 発給数は、全体で65,000と定められていますが、修士号以上の学位取得者には、さらに20,000件余分に認可されます(つまり、修士号以上の学位を持っていれば、一般の65,000件の方か、もう一方の20,000件のどちらかに応募可能)。

この上限数の免除対象となるのは、大学等の高等教育機関や非営利の研究機関などに勤務する場合です。例えば、ポスドクや大学職員として高等教育機関に勤務される場合、この上限数や発行時期は全く関係ありません。また、二度目以降の H-1B 申請の場合も免除されますが、一度目に上限数制約下での H-1B 発行に限ります。例えば、大学勤務で初めての H-1B を取得したのち、一般企業に H-1B で転職する場合は、二度目の申請になりますが、一度目が上限制約下ではないため、転職する際には、上限数が課される H-1B 申請になります。

先に触れた通り、H-1B は会計年度と関係があるため、上限数のもとで新しく発給された H-1B では、その年の10月1日以降から勤務可能となります。H-1B の申請受け付けは、その年の会計年度が始まる6ヶ月前、つまり4月1日(もしくは、4月最初の営業日)から応募可能です。10月1日よりも前に承認されたとしても、H-1B のビザで勤務できるのは10月1日以降です。過去には、受け付け開始日の4月1日の時点で、発給数よりも多くの申請書を受け取った年があり、その場合は抽選で選ばれました。ジョブオファーをもらっていても、ビザが下りずに働けなかった人もいたそうです。ですが、リーマン・ショック後は不景気のため雇用が減少しているため、なかなか上限数にまで達していないようです。参考までに、近年の状況は以下の通りです。
---
2008年度:2007年4月2日の受け付け開始日に、発給数の倍以上の約150,000通の申請書を受け取る。その後2日間は申請書を受け付け、それ以降は2008年度の応募は締め切り。
2009年度:最初の1週間で規定数に到達し、その後は受け付けしないと、2008年4月8日に発表。
(2008年9月にリーマン・ブラザーズが破綻)
2010年度:2009年12月22日に、ようやく規定数に到達。
2011年度:前年よりさらに遅く、2011年1月26日に規定数に到達。
2012年度:2011年4月15日の時点で23,500件のみ受理。いま現在の状況は、こちらで確認可能。

確実に H-1B を取るためには、少なくとも半年以上前に雇用を確保しているのが望ましいのですが、近年の不況が、ビザの面から見ると良い方向に影響しています(そもそも、ジョブオファーがもらえないと、就労ビザの申請もできませんが。。)。アメリカ国外に住んでいる人が初めて企業用の H-1B を取得しようとすると、景気の良かった時代には非常に困難だったのですが、近年では10月1日以降でも申請可能なので、敷居は低くなっていると思います。もちろん、これからどのようになるかはわかりませんが。

次回は、OPT と H-1B 申請で実際に体験したことをまとめてみます。

TrackBacks (0) Comments (1)

F-1 ビザと OPT に関して

アメリカの大学・大学院に進学後、現地で就職するとなると、永住権・市民権を持たない場合には、ビザが問題になってきます。最近1年弱のあいだに、学生ビザ(F-1)から F-1 + OPT(就労許可)、そして 就労ビザ(H-1B)と変わったので、これから数回に渡って、これらの事柄をまとめてみます。

はじめに断っておきますが、これから書くことは、すべて私個人の知識・体験がもとになっています。出来るだけ、信頼のおける文献を当たってはいますが、必ずしも正確性を保証する内容ではありません。そのため、最終的には専門の方(大学の留学生課の専門資格を持った職員や移民弁護士)などに確認して下さい。


● ビザ
ビザとは査証のことで、査証とは、「外国人の入国に必要な入国許可申請証明の一部」であり、「入国許可・在留資格とは別のもの」です(Wikipedia より)。


● 学生ビザ(F-1)
一般的な日本人(アメリカ国籍や永住権を持たない人)の場合、アメリカの大学や大学院に来る際に、学生としてのビザが必要になります。いくつか種類がありますが、一般的には、F-1 ビザを取得することが多いはずです。F-1 ビザ申請のためには、受け入れ校からの書類(I-20)が必要になります。なお、I-20 は Travel Signature と呼ばれる、所属大学からのサインが必要で、アメリカ国外に出て再度戻る際には、少なくとも過去1年以内に取得したサインでないと、再入国が厳しくなります。これをうっかり忘れてアメリカ国外に行くことは、結構犯しがちなミスです(その際には、所属大学の留学生課に連絡して下さい)。

F-1 ビザ保持者は、フルタイムでの滞在のみが許可されています。学業が主目的であるため、基本的に労働は認められていませんが、例外として、大学キャンパス内での仕事であれば、週に20時間まで認められています。学部生であれば、キャンパス内のブックストアやカフェテリア、図書館や留学生課での仕事などがあるでしょう。大学院生であれば、TA(Teaching Assistant)や RA(Research Assistant)もパートタイムとしての仕事に含まれます。RA の場合、実質労働時間が20時間を越えることは、特に卒業間近になれば一般的ですが、それでも形式上は20時間以内のパートタイム労働として区分されます。

在学中に、キャンパス外で仕事をしたい場合、CPT(Curricular Practical Training)という特別な許可申請が必要になります。専攻に関連する職務内容であったり、CPT を通して卒業単位を得られること(PhD 課程の場合は例外)など、いくつかの制約が課されます。また、フルタイムで CPT をすると、その期間分が、卒業後に申請可能な OPT から差し引かるため注意が必要です。なお、CPT は所属大学の留学生課を通して許可されるはずですが、私自身は CPT をしていないため、詳しくはわかりません。


● OPT(Optional Practical Training)
CPT は在学中のものでしたが、OPT は卒業後に申請できる労働許可です。一般的に、大学・大学院卒業後、すぐに就労ビザや永住権を得られることは非常に稀なため、一時的な労働許可をもらってから、就労ビザを取得することが多いと思います。その橋渡しとなるのが OPT です。OPT は、あくまで特別労働許可であって、ビザではありません。そのため、OPT 期間内であれば、卒業後であっても F-1 ビザのステータスを維持する必要があります。

2008年春に、OPT の内容に大きな変更がありました。私が申請した2010年10月の時点では、下記のようなことが特に注意する点です。ただし、これらは思いつく事柄であって、これがすべての条件・注意事項というわけではありません。

  1. 基本的に最長12ヶ月間まで。ただし、特別な要件を満たした場合、最長29ヶ月まで更新可
    最長29ヶ月まで延長するためには、2つの条件があります。1つ目は、大学での専攻が STEM (Science, Technology, Engineering, and Math) 分野に当てはまることです。2つ目は、雇用先が E-Verify プログラムに加入していることです。E-Verify とは、アメリカ政府が進めている、オンライン上で管理する移民情報システムのことです。大企業ではまず例外なく導入されていると思いますが、中小企業では加入していないところもあるため、その場合は STEM 分野専攻であっても OPT の延長は認められません。
  2. 卒業90日前から60日以内の期間のみ申請可
    学部課程や修士課程の場合、卒業時期が明確であることが一般的であるのに対して、PhD 課程の場合、いつ本当に卒業できるかというのは、最後の最後までわからないケースが多いと思います。大学やプログラムによってルールが異なるでしょうが、博士論文を最終的に提出する日が卒業日と定めているような場合、OPT 申請をいつすれば良いのか迷うかもしれません。
  3. CPT でフルタイムとして働いていた場合、その期間分が差し引かれる
    これは先に述べた通りです。そのため、在学中に12ヶ月間、フルタイムとして CPT で働いてしまうと、OPT の分がなくなってしまいます。なお、その際、項目1で述べた2つの条件を満たした場合、29ヶ月に延長できるかはわかりませんので、各自調べてください。
    【追記】shima さんから貴重なコメントを頂いたので、そちらも参考にしてみて下さい。
  4. 申請から許可までは、最長で90日掛かる
    アメリカでも大企業であれば、日本のように入社時期があらかじめ大まかに定められている場合があるかもしれませんが、ジョブオファーが出たらなるべく早く働いて欲しい、というケースも多いのではと思います。その際に OPT が出ていれば良いのですが、OPT がいつ出るかわからない状況で就業開始日までに間に合わない場合、最悪の場合、ジョブオファーが取り消し(厳密に言うと、OPT が取得できることが前提のジョブオファーになる場合が多いため、取り消しではないかもしれませんが)になる可能性も否定できません。OPT の申請は、時期によって混み具合が異なります。卒業シーズンと重なると、審査に要する期間も長いのが一般的ですし、90日以上掛かることも稀ではありません。
  5. OPT の最初の12ヶ月のあいだに、無職の期間は最大90日まで認められる
    裏を返せば、OPT 交付日から90日より長い期間、就業できていない状況だと、アメリカを出国しなければなりません。これは、2008年春以前にはなかったルールのようです。
  6. OPT は F-1 の延長なので、住所の変更や雇用先情報などは、所属していた大学の留学生課に逐次報告する必要がある
    これは OPT を受け取った際に、所属している/していた大学の留学生課より言われるはずです。また、OPT の最中も F-1 ビザなので、1年以内にもらった Travel Signature が必要になります。

次回は、H-1B のことに関して説明します。

TrackBacks (0) Comments (2)

LA に来て半年が経過

_DSC8440.jpg
結局、更新再開宣言をしてからも、ほとんど何も書けていませんが、ロサンゼルスに引っ越してきて新しい仕事が始まってから、早くも半年が経過しました。8人しかいないスタートアップ企業ですが、朝から晩まで働き詰めかというと、そういうわけでもなく、大学の研究室の延長線上の雰囲気で、それなりに和気藹々と楽しくやっています。元々が南カリフォルニア大学の研究室だったこと、なおかつ、メンバーの半数以上がまだ大学に所属しているので、いままで慣れ親しんだアカデミアの雰囲気を持ちつつ、なおかつビジネスも当然のことながらやっている感じです。小さな会社なので、自分自身のエンジニアとしての仕事の他に、趣味の延長線上でカメラマンっぽいこともしたり、学会への出張などで営業っぽいこともしたり、この先は PI (Principal Investigator) として研究資金申請書を書くこともありそうです。

このように、大学院修了後もアメリカで働くには、それ相応のビザが必要になってきます。その王道(参照:アメリカの就労ビザが欲しければ留学せよ)とも言える、学生ビザ(F-1)、学生ビザ+OPT(就労許可)、そして就労ビザ(H-1B)と、この1年弱のあいだに切り替わりました。アメリカの大学院に留学後にアメリカで働きたいと思っても、米国永住権や市民権がない人には、ビザが大きなネックになってくるので、次回に自分の知っている情報をまとめて、今後の方の参考になればと思います。

TrackBacks (0) Comments (0)

7年前の杉村太郎氏との出会い

2004年秋入学を目指して、大学院出願の最後の追い込みをしていた2004年元旦、本屋である1冊の本を買った。TOEFLに何回チャレンジしても、なかなか250点(昔のペーパーだと600点、現在のiBTだと100点相当)の壁が越えられなかった。出願先によっては、TOEFL250点が足切りラインのところがあったから、どうしてもこの点数だけは取りたかったけれど、出願締め切りを考えると、1月が恐らく最後のチャンスだった。藁にも縋る思いで買ったその本は、杉村太郎氏の「TOEICテスト900点・TOEFLテスト250点への王道」という本だった。

杉村氏は、「絶対内定」シリーズの著者として有名で、日本で就職活動をしなかった自分はその本を使う機会はなかったけど、名前だけは知っていた。彼は、ハーバード大のケネディ行政大学院に留学したそうで、そのときの英語勉強法とその心構えなどをまとめたのが、購入した本だった。事前に見掛けたカスタマーレビューでは、この本を読んでも急激に点数が伸びるわけじゃないけど、でもやる気だけはみるみると湧いてくる、というものだった。実際に読み出したら、彼の巧みな話術に引き込まれ、あっという間に読み終え、そして、何が何でも絶対250点を取ってやる、という闘志が湧いてきた。

その数日後、TOEFLを受けた。果たしてその効果があったかはわからないけれど、以前に受けたリスニングといくつか同じ問題が出てきたという幸運にも恵まれ、最後の最後でボーダーラインを越えることができた。その足切りラインの一つを課していたのが、自分が進学・卒業したジョンズ・ホプキンスだったから、この本に救われたというのは、誇張表現じゃないだろう。

さて、無事にホプキンスへの進学が決まった2004年春、渡米までのあいだに、英語を集中的に勉強したいと思った。そんなとき、杉村氏のことを調べたところ、プレゼンスという、英語試験・英会話のコーチングスクールを開校していることを知った。早速説明会に登録して駆け付けた。多くの人は試験対策をメインに考えているからか、それとも時期的なものだったのか、その英会話クラスの説明会にはたったの4人しか参加していなかった。それでも、ご本人自ら、プレゼンスの理念を1時間超熱弁し、さらにその後には、それぞれ4名の個別相談にも乗ってくれた。そのときには、もう彼は既に有名人で、かなり多忙だったはずなのに。

説明会というのは、基本的に勧誘の場だと思う。でも、それまでにしてきた自分の英語の勉強、そしてもうすぐアメリカの大学院に行くという一連の話をすると、杉村氏は、プレゼンスに入学する必要はないのでは、と言ってきた。彼の学校は、英語を教えるのももちろんだけれど、それ以上に、コーチングによって生活・勉強習慣を律することが目的だそうだ。そのため、プレゼンスに通って他人からのコーチングに頼るよりも、自分で自分を律して、アメリカの大学院を頑張って乗り越えて下さい、とのことだった。営業すべきところだろうに、彼からの真剣なアドバイスに非常に感銘を受けた。

恥ずかしながら、大学院を終えた今でも、自分で自分をしっかりと管理できているかと問われれば、未だに No だと思う。でも、思い掛けず、数日前の彼の訃報を知ったいま、彼の真剣なアドバイスがまた心の奥底から蘇ってきた。47歳の死というのはあまりにも早すぎる。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

TrackBacks (0) Comments (0)

アメリカ生活8年目突入

最後にお知らせしてから、また4ヶ月近くも空いてしまいました。気が付けば、アメリカに来てから既に7年が経ち、8年目に突入しました。まさかこんなに長く滞在するとは思ってもいませんでした。人生、なかなかわからないものですね。

ボルチモアからの車での大陸横断は、拍子抜けするほど何事もなく順調に進み、12日間で12州をまたぎ、無事4/1にロサンゼルスに到着しました。そして、4月から働き始めたロサンゼルスの会社では、1ヶ月ほど前にちょっとしたトラブルはあったものの、毎日楽しくやっています。ようやくこちらでの生活も落ち着いてきたので、不定期ですが、またぼちぼちとブログを更新していこうと思います。

TrackBacks (0) Comments (0)

旅立ちのとき

予想以上に長い一時休止になりました。その間、本の出版、結婚式、ディフェンス、就職活動と、いろいろなイベントが目白押しでしたが、今年の1月末に正式に博士課程を終え、就職活動もようやく3月上旬に終了しました。4月からは、ロサンゼルスにあるベンチャー企業にて触覚センサーの開発に携わることになりました。アメリカの企業を中心に、日本、ヨーロッパ、カナダと20を越える会社・研究機関・大学に応募した体験は、今後の大学院留学生にとって役立つ情報となると思うので、またの機会にぜひ就職活動の感想を共有したいと思います。

2004年6月30日に初めてアメリカに到着してから、実に6年半以上の時間が流れました。日本を離れて、日本の友人たちと頻繁に会うことは難しくなってしまいましたが、その代わりに、多くの新たな素晴らしい友人との出会いにも恵まれました。20代後半という、人生の中でも重要な時間を、そんな素晴らしい仲間たちと過ごすことができたこと、本当に嬉しく思うと共に、家族やボルチモアの友人をはじめとした、私の大学院生活を支えてくれた多くの方々に、心から感謝申し上げます。

昨日、ボルチモアを出発し、いま現在はロサンゼルスに向かって、アメリカを車で横断引っ越ししています。おそらく10日間以上、5,000km以上の旅になると思いますが、この体験もまた、ご報告したいと思います。

TrackBacks (0) Comments (4)

私も活動に携わっているカガクシャ・ネット主催によるシンポジウムが、12/21(火)午後より、東大弥生キャンパスにて開催されます。どなたさまでも参加無料ですので、ぜひ奮ってご参加下さい。



【イベント名称】 第一回・博士キャリアアップシンポジウム: グローバル時代に博士号を生かす方法 〜 就職難の時代だからこそチャンスを勝ち取る!


【イベント概要】
「大学院重点化計画」や「ポストドクター等一万人支援計画」により、日本における大学院進学者・博士号取得者は、1990年頃を境に急激に増加しました。しかし、博士号取得者を日本社会で活かす術がなかなか見つからず、前代未聞と言われている博士号取得者の就職難が、取り沙汰されています。しかし、ピンチのときこそ大きなチャンス!問題に対する責任のなすりあいはやめて、今こそ自分たちが行動に出るときだと我々は考えます。博士のひとりひとりが意識を変えて、視野を広げ、グローバルな視点で世界を見ていけるよう、このイベントを企画しました。単なる就職活動のノウハウではなく、将来までずっと役立つ「マインド」を養うことに特化したセミナーとワークショップを開催します。日本の科学技術のトップを担う先生方の基調講演から、キャリアプラニングに詳しい専門家、そして博士を取得したばかりの人たちによるお話まで、多岐にわたる構成です。積極的なご参加を歓迎します!

なお、本シンポジウムは無料のため参加登録は必須ではありませんが、当イベントに関するお知らせや資料・ファイルの配信をご希望の方は、以下のフォームからご登録ください。個人情報は厳格に扱い、第三者に許可なく提供することは一切ありません。
http://kagakusha.net/symposium_2010.htm


【参加対象】
博士課程大学院生、院進学を考えている学生、博士号取得者、ポスドク、この内容に興味のあるファカルティ等(東大生・所属である必要はありません)


【基調講演】
黒川清(政策大学院大学・教授、元内閣特別顧問)
北澤宏一(科学技術振興機構・理事長)


【講演】
長井裕樹(アカリク・取締役)
山本伸(サイコムジャパン・理事)
杉井重紀(カガクシャネット・代表、司会進行兼)


【パネリスト】
峰島知芳(国立環境研究所)
小池幸弘(モルガン・スタンレー)
斉藤広隆(東京農工大・特任准教授)
他アメリカ大学院留学経験者数名予定


【日時】
2010年12月21日(火) 13:30〜


【進行予定案】
● 第一部
13:30〜13:45 イントロダクション
13:45〜14:45 基調講演
14:45〜15:45 講演
休憩
● 第二部
16:00〜17:30 パネルディスカッション
17:30〜 懇親会


【場所】
東京大学農学部1号館第8講義室


【主催】
カガクシャ・ネット

カガクシャ・ネットはもともと2000年にメーリングリストとして発足した、理工系の大学院留学生・卒業生とそれを目指す人のネット上の集いです。ネット上のみに終わらず、実際の人脈作りにも役立てるのが、ねらいです。詳しくは、カガクシャ・ネットのウェブサイトをご覧下さい。


【本シンポジウムに関する問合せ先】
カガクシャ・ネット

もしくは

東京農工大学地域生態システム学科 斎藤広隆
Tel/Fax: 042-367-5584
(_at_ を @ に書き換えてください)

TrackBacks (0) Comments (0)

ディフェンス、無事終了!

今年始めに、新年のご挨拶と一時休止のお知らせをしてから、あっという間に11ヶ月が経過しました。2009年初春には、その1年後の2010年5月の卒業式に出席しようという思っていたのですが、卒業が伸びに伸びて、今年7月に挙げた結婚式前までには終わらず、その後も若干伸びたのですが、先日11月16日に無事に博士論文最終口頭試問(ディフェンス)を執り行い、無事に合格することができました。

2004年6月30日にアメリカ大陸に初めて足を踏み入れてから、実に6年半もの月日が経ったことになります。最初に来たときは、PhD 課程への入学が認められていたものの、博士号取得まで続けるかどうか、そもそも、財政援助が保証されていなかったので、いつまで通えるかどうかすらわからない状況でしたが、2005年初夏からは、現在のアドバイザーから安定的な財政援助を頂き、途中二度の関門試験をなんとか突破し、無事にやってくることができました。その間、家族や友人からの大いなる励ましはもちろんのこと、特に後半は、妻や妻の家族のみなさんからも非常に心強いサポートを頂き、ディフェンス終了まで辿り着けました。ディフェンス最後の謝辞でも述べたのですが、多くの方々のご協力や応援なくしては、成し得なかった博士論文ですので、この場で改めてみなさんに心から感謝申し上げます。

ディフェンス直前の生活や、せっかくですので博士論文の研究内容に関しても、後々触れたいと思っています。とりあえずは、無事にディフェンスを突破できたこと、ここにご報告します。


_DSC6818.jpg
ディフェンス終了後、ハウスメイトたちが企画してくれた、私のディフェンス合格記念&ボルチモアでの結婚記念パーティー。

TrackBacks (0) Comments (2)

先日もご紹介させて頂いた、「科学技術英語徹底トレーニング」シリーズの最新刊が、アルク社より発刊されました。今回は、「ロボット工学(人見憲司・著/富山健・監修)」編「バイオテクノロジー(人見憲司・著/近藤哲男・監修)」編の見本を、アルク社の菊野啓子様、現 h+m lab(エイチエムラボ)の岡田真紀様より頂戴致しました。どうもありがとうございます。

基本的な本の構成は、前回の「資源・材料・エネルギー工学」編「環境工学」編と変わっていませんので、おおまかには同一の感想になると思います。つまり、近い将来に論文執筆・ポスター発表を控えている大学・大学院生にぜひお勧めしたい本です。今回の2編を合わせると、これまでに全部で4分野出版されており、また2011年3月には、ライフサイエンス編も発刊予定とのことなので、ぜひ自分の専門に近い本を買うことをお勧めします。というのも、今回、私の専門分野であるロボット工学編に目を通し、やはり他分野とは格段に理解度が異なることから、余計にそう実感しました。本書全体を通して、その分野で出版された論文・ポスターを題材にした、多くの解説が丁寧に書かれているため、やはり該当分野の知識があるのとないのとでは、読みやすさ・理解度に違いが生じてくるのではと思います。また、その分野の重要かつ基礎的な単語も紹介されているため、英語で専門用語を学ぶのには非常に有用です。

ロボット工学編の監修を担当されている、千葉工科大の富山健教授とは、直接の面識はないのですが、私が留学前に富山先生のウェブサイトを偶然拝見して、出身大学・学科の大先輩であったことを知り、UCLA で博士号を取得された後にアメリカでしばらく教鞭を取られていたことを拝見し、勝手に大変励まされたことを覚えています。富山先生のアメリカ留学前、大学院生時代、プレゼンの秘訣を綴ったエッセイも、非常に楽しい読み物として仕上がっています。

やや残念だったのは、その分野の権威である監修者の先生方が、どれくらい細かくチェックしていらっしゃるのかがわからないのですが、少なくともロボット工学においては、Vocabulary Building の重要英単語の日本語訳が、あまり適切に感じられないものがあったことです。もちろん、スペースの都合上、詳しく説明できない部分もあると思うのですが、例えば、下記の3語を、追記・訂正するならば、

- haptics: 力覚・触覚の
- manipulator: マニピュレータ、操作する人
- neural network: 神経回路網 → ニューラルネットワーク

となると思います。最初の haptics はもう一方の「力覚の」という意味が抜け落ちており、一般的に manipulator と言えば、robot manipulator を指し、操作者は (human) operator と呼ばれます。最後の neural network は、もちろん意味としては神経回路網で合っていると思いますが、「ニューラルネットワーク」という言葉自体が、日本語の専門用語として定着していると、私は認識しています。

バイオテクノロジー編に関しては、監修者の先生の研究グループからの論文とポルトガルの研究グループのポスターが題材として取り上げられていたのですが、これは違う研究者の論文・ポスターの方が良かったのではと思いました。もちろん、査読という厳しい審査を通り抜けて、研究内容も英文の質も認められて論文が出版されていますが、せっかく科学技術英語のトレーニングをするので、例えば英語がネイティブの研究グループのサンプルの方が適切だったかもしれません。

そうは言っても、全体の完成度という観点では、論文の書き方やポスター作成を学びたい学部生・大学院生には、非常におすすめの入門書です。該当分野に近い専攻で、論文執筆・ポスター作成を控えている方は、ぜひとも手に取ってみて下さい。

TrackBacks (0) Comments (0)